中国輸入のPL保険は必要?保険料相場・加入方法と海外PL保険との違い

こんにちは!

中国輸入代行-誠(Makoto)のパンダ社長こと酒井隆太(@makoto1688)です^^

 

パンダ娘

「中国輸入をやるならPL保険に入りなさい」と言われました。でも私は仕入れて売るだけですし、調べたら「海外PL保険」というものまで出てきて…。どっちが必要なのか分からなくなってしまって。

今回は、こちらのお悩みに、やさしくお答えしていきますね。

 

PL保険に関するPost


この記事は、長年、中国輸入と国際物流に携わるパンダ社長が書いています。

パンダ社長

「自分は作っていないから責任はない」という考えは、中国輸入では通用しないんです。この記事では、まず「あなたに必要なのはどちらの保険か」をはっきりさせたうえで、費用の相場からいちばんお得な入り方まで、順番にお伝えしていきますね!

それでは、一緒に見ていきましょう。

 

この記事のもくじ
  1. 【結論】あなたに必要なPL保険はどっち?輸入と輸出で変わる
  2. PL保険(生産物賠償責任保険)とは?補償される損害・されない損害
  3. 中国輸入ビジネスでPL保険が必要な理由
  4. PL保険に加入すべき人・まだ不要な人の判断基準
  5. PL保険の保険料相場【年商別・商品ジャンル別の目安】
  6. PL保険の加入方法と窓口の選び方【最安は商工会議所】
  7. 加入前に知っておきたいPL保険の注意点3つ
  8. 中国へ輸出・中国国内で販売するなら「海外PL保険」が必要
  9. 【Q&A】中国のPL保険に関するよくある質問
  10. まとめ:PL保険は自分とお客様を守る「守り」の投資

【結論】あなたに必要なPL保険はどっち?輸入と輸出で変わる

中国輸入と中国輸出で異なるPL保険

「PL保険 中国」で検索すると、なんだか話が噛み合わない記事がたくさん出てきて、混乱してしまいますよね。

実はこれ、あなたが悪いのではありません。

同じ「中国のPL保険」でも、商品が動く向きによって、必要な保険がまったく別物になるからです。

まずはここをはっきりさせてしまいましょう。

下の表で、ご自身がどちらに当てはまるかを確認してみてください。

あなたの立場具体例必要な保険保険料の目安
中国から輸入して
日本国内で売る
タオバオ・アリババ1688で仕入れ、Amazon・楽天・メルカリで販売する国内のPL保険
(生産物賠償責任保険)
年5,000円〜
日本から中国へ輸出する
中国国内で売る
自社製品を中国へ輸出する、天猫国際などの越境ECで中国の消費者に売る海外PL保険
(英文生産物賠償責任保険)
年6万円〜

この記事を読んでくださっている方の多くは、上の「中国から輸入して日本で売る」に当てはまるはずです。

その場合に必要なのは、日本国内向けのPL保険(生産物賠償責任保険)のほうですので、このまま順番に読み進めてくださいね。

 

ここを取り違えたまま加入してしまうと、いざという時に「補償の対象外です」と言われかねません。最初の1分でいいので、ご自身がどちらなのかだけは確認しておいてくださいね。

 

PL保険(生産物賠償責任保険)とは?補償される損害・されない損害

PL保険とは、正式名称を「生産物賠償責任保険」といいます。

販売した商品が原因でお客様にケガをさせてしまったり、他人のモノを壊してしまったりした場合に、事業者が負う損害賠償金や裁判費用を補償してくれる保険です。

「PL」はProduct Liability(製造物責任)の略で、いわば物販ビジネスにおける自動車保険のようなものだとイメージしてください。

商品を製造するメーカーだけでなく、小売業者や輸入業者、個人事業主でも加入できますので、「まだ法人化していないから関係ない」ということはありませんよ。

  • PL保険=販売した商品が原因の事故による損害賠償金・裁判費用を補償する保険
  • メーカーだけでなく、小売業者・輸入業者・個人事業主でも加入できる
  • 物販ビジネスにおける「自動車保険」のような万が一への備え

では、実際にはどこまで面倒を見てくれるのでしょうか。

「出るお金」と「出ないお金」を、先に整理しておきましょう。

 

詳しく見ていきましょう。

 

PL保険で補償される4つの損害

PL保険で補償されるのは、賠償金だけではありません。

事故が起きたときに実際にかかるお金は、大きく次の4つに分かれます。

補償の種類どんなお金か
①法律上の損害賠償金被害にあったお客様に支払う治療費・慰謝料・修理費など。保険の中心となる補償です。
②争訟費用訴えられたときの弁護士報酬や訴訟費用。実は賠償金より先に、ここで資金が尽きる方が多いんです。
③緊急措置費用事故の直後に、被害の拡大を防ぐために動いた費用。応急処置や搬送にかかったお金などです。
④生産物回収費用
(リコール費用)
商品を回収するための告知費・通信費・送料・廃棄費など。特約でセットするのが一般的です。

特に見落とされやすいのが、②の争訟費用です。

裁判にまで進まなくても、弁護士に相談して交渉してもらうだけで、数十万円単位の費用が発生します。

「賠償金を払うほどの事故ではなかったけれど、弁護士費用だけで利益が飛んだ」という事態を防いでくれるのも、PL保険の大事な役割なんですよ。

 

PL保険で補償されない主なケース

一方で、「入っていれば何でも出る」わけではない点も、先に知っておいてください。

一般的に、次のようなケースは補償の対象外とされています。

  • 壊れた商品そのものの損害:不良品の交換代や返金は対象外。あくまで「その商品が他人に与えた被害」を補償する保険です。
  • 欠陥を知りながら販売した場合:危険だと分かっていて売った、いわゆる確信犯的なケースは免責になります。
  • 契約で上乗せした賠償責任:取引先と「何かあったら全額補償します」と約束した分など、法律上の責任を超える部分。
  • 罰金・制裁金・懲罰的損害賠償金:行政罰や、海外訴訟で科される懲罰的な賠償は基本的に出ません。
  • 納期遅延や使用不能による損害:商品が届かなかった・使えなかったことによる相手の損失。

つまりPL保険は、「返品・交換」ではなく「事故と賠償」に備える保険だと考えると、イメージしやすいですよ。

不良品そのものの損失は、仕入れ前の検品で防ぐしかありません。

 

中国輸入ビジネスでPL保険が必要な理由

中国輸入における輸入者責任とPL保険

「商品を右から左へ流しているだけの自分に、なぜ保険が必要なの?」と不思議に思いますよね。

実は、日本の法律の仕組みと、中国輸入で扱う商品の特性に、その理由が隠れています。

ここを知らないまま販売を続けるのは、シートベルトなしで高速道路を走るようなものなんです。

大切なポイントですので、ひとつずつ丁寧に見ていきますね。

 

詳しく見ていきましょう。

 

製造物責任法では「輸入者」が製造業者とみなされる

日本の「製造物責任法(PL法)」では、製品の欠陥によって損害が生じた場合、その製品の製造業者が賠償責任を負うと定められています。

「それなら、責任を負うのは中国の工場では?」と思いますよね。

ところが、海外から輸入された商品については、日本の法律上、輸入した業者が製造業者とみなされる仕組みになっています。

つまり、あなたが中国から仕入れた商品で事故が起きた場合、たとえ製造に一切関わっていなくても、あなたがすべての損害賠償責任を負うことになるのです。

これは消費者庁のホームページにも明記されている、れっきとしたルールなんですよ。

 

中国の工場・仕入先には事実上、賠償を請求できない

中国輸入ビジネスの主流は、タオバオやアリババで仕入れるノーブランド品や、自社ブランド化(OEM)した商品です。

万が一事故が起きたとき、「じゃあ中国の工場に賠償してもらおう」と考えるのが自然ですよね。

法律上は、その道が完全に閉ざされているわけではありません。

中国の製品品質法(産品質量法)や、2021年1月1日に施行された民法典 第7編「権利侵害責任」では、欠陥商品について生産者・販売者が無過失で責任を負い、販売者が先に賠償した場合は生産者に求償できるとされています。

ただし、これはあくまで「条文の上では」という話です。

現実には、次のようなハードルが立ちはだかります。

  • 提訴先が中国:中国の裁判所に、中国語で、現地代理人を立てて訴える必要があります。
  • 時効が短い:製品品質法では、欠陥商品の損害賠償請求の時効は原則2年。さらに最初の消費者に引き渡されてから10年を過ぎると、請求権そのものが消えてしまいます。
  • 相手が特定できない:ノーブランド品では、そもそも「どの工場が作ったのか」を証明する書類が手元にないケースがほとんどです。
  • 費用倒れになる:数十万円の商品トラブルのために、渡航費と弁護士費用をかけて争う事業者はまずいません。

そのため、被害にあったお客様が現実的に責任を追及できる相手は、日本国内の販売者であるあなただけになります。

だからこそ、万が一の事態に備えて、PL保険でリスクをカバーしておく必要があるんですね。

「工場に責任を取らせればいい」とおっしゃる方に、私はいつも「その工場の正式名称、言えますか?」と聞くようにしています。アリババの店舗名しか分からない状態では、責任の追いようがないんです。

 

実際に起こりうる事故と賠償事例

「たかが中国輸入の商品で、そこまで大きな事故が起きるの?」と思うかもしれません。

しかし、過去には輸入商品が原因で、数千万円規模の損害賠償に発展したケースも存在します。

どのような商品が、どのような事故につながる可能性があるのか、具体的に見てみましょう。

商品ジャンル想定される事故事例被害と損害賠償の例
電子機器・家電モバイルバッテリーや電子レンジから出火した住宅の全焼(賠償額:数千万円規模)
ベビー用品・おもちゃおもちゃの部品が外れ、赤ちゃんが誤飲して窒息した重大な人身事故(賠償額:数千万円規模)
美容・コスメ用品石鹸や化粧品を使用して重度のアレルギー症状が出た後遺症の発生(賠償額:数千万円規模)
アウトドア・スポーツ用品自転車のペダルがいきなり外れて転倒・骨折した治療費や休業補償(賠償額:数百万円規模)

私自身、プライベートで買った激安の自転車パーツが走行中に折れて、ケガをしたことがあります。売る側になったとき、あの瞬間を思い出して背筋が寒くなりました。「私はアパレルだけだから大丈夫」も油断禁物で、服の金具や紐が原因の事故は実際に起きているんですよ。

 

PL保険に加入すべき人・まだ不要な人の判断基準

ここまで読んで、「怖いから今すぐ入らなきゃ!」と焦った方もいるかもしれませんね。

でも、どうか安心してください。

すべての人が今日すぐ加入しなければいけない、というわけではありません。

まずは下のチェック表で、ご自身がどの段階にいるのかを確かめてみましょう。

あなたの状況判定
月商100万円を超えている今すぐ加入(販売数が増えるほど事故の確率も上がります)
電気・肌・お子様・体重に関わる商品を扱っている売上に関係なく加入(1件の被害額が大きくなりやすいジャンルです)
OEMで自社ブランド商品を販売している今すぐ加入(ブランド表示者として、真っ先に責任を問われます)
Amazon・楽天など、販売先から加入証明を求められた今すぐ加入(放置すると出品停止のおそれがあります)
はじめたばかりで、利益が月数万円急がなくてOK(まずはリサーチと販売の経験に集中しましょう)
扱うジャンルがまだ定まっていない急がなくてOK(ジャンルが決まってからのほうが、設計を間違えません)

「急がなくてOK」に当てはまった方も、リスクがゼロになるわけではありません。

売上が安定してきて「事業として続けていくぞ」と決めたタイミングで、必ず思い出してくださいね。

 

詳しく見ていきましょう。

 

商品ジャンル別・PL事故リスクの高さ

同じ月商でも、扱う商品によって「入るべき緊急度」はまったく違います。

判断に迷ったら、次の表を目安にしてみてください。

リスク商品の例加入の緊急度
モバイルバッテリー・家電・照明などの電気を使う商品/ベビー用品・おもちゃ/化粧品・石鹸・ピアス/椅子・自転車・筋トレ器具・ヘルメット売上に関係なく加入
キッチン用品・食器/ペット用品/カー用品・自転車アクセサリー/アウトドア用品月商50万円を超えたら加入
アパレル・靴下・帽子/スマホケース/文房具・インテリア雑貨月商100万円を目安に加入

リスクが「高」のジャンルは、保険料も少し上がります。

とはいえ、上がるといっても年間で数千円から1万円程度の差ですから、迷う理由にはならないはずです。

私の周りでは、月商100万円が加入のひとつの目安になっています。ただ、電気系を扱うなら売上に関係なく入っておくのが、長く物販を続けるコツですよ。

 

Amazon・楽天など販売先から加入を求められるケース

実は最近、「自分で決める」以前に、販売先から加入を求められて慌てて入るというパターンが増えています。

代表的なのがAmazonです。

Amazonでは、一定期間の売上が基準額を超えた出品者に対して、生産物賠償責任を含む賠償責任保険への加入と、保険証明書(COI)の提出を求める規約が設けられています。

日本国内では「1事故あたり1,000万円以上」といった支払限度額の条件が示されており、契約内容によっては手持ちの保険では要件を満たせないこともあるんです。

Amazon以外でも、次のような場面で加入証明を求められることがあります。

  • クラウドファンディングでオリジナル商品を出すとき
  • 実店舗や小売チェーンへ卸すとき
  • OEM商品を法人へ納品するとき
  • 展示会や催事に出展するとき

「売上が伸びてきたら、いずれ求められるもの」と考えて、先に準備しておくほうが心穏やかでいられますよ。

規約の条件は改定されることがありますので、加入前に必ずセラーセントラルで最新の要件をご確認ください。「支払限度額」と「被保険者の名義」が条件に合っているか、保険会社の担当者に伝えて設計してもらうのが確実です。

▼ Amazonでの中国輸入の進め方はこちら
Amazon中国輸入のやり方|初心者が稼ぐ5ステップ【2026年最新】

 

PL保険の保険料相場【年商別・商品ジャンル別の目安】

万が一の賠償額が数千万円になると聞くと、「保険料もきっと高いんでしょう?」と身構えてしまいますよね。

でも、ご安心ください。

中国輸入ビジネスにおけるPL保険の費用は、拍子抜けするほどリーズナブルです。

保険料は主に「年間の売上高」と「取り扱う商品の種類」で決まり、個人事業主や小規模な法人であれば、年間数千円から加入できることがほとんどなんです。

年商の目安年間保険料の相場
〜1,000万円5,000円〜10,000円程度
〜2,000万円10,000円程度
〜5,000万円30,000円〜50,000円程度

そして、同じ年商でも保険料が上振れしやすいのが、次のような商品です。

商品の種類保険料への影響
口に入れる食品・サプリメント高くなりやすい。引受自体を断られることもあります
化粧品・石鹸など肌に触れる商品高くなりやすい。アレルギー被害が広範囲に及ぶためです
発火リスクのある電気製品高くなりやすい。個別の保険設計が必要な場合もあります
一般的な雑貨・アパレル標準的な保険料の範囲で加入できることがほとんどです

※保険料は補償内容や支払限度額によっても変わりますので、あくまで目安としてご覧ください。

年間1万円ほどで数千万円の賠償リスクに備えられるのですから、コストパフォーマンスは抜群だと思いませんか。

私も年間1万円ほどでPL保険に加入しています。飲み会1回分の金額でビジネスと家族を守れるなら、これほど安い投資はないですよ^^

 

PL保険の加入方法と窓口の選び方【最安は商工会議所】

「よし、入ろう!」と決めたら、次はどこで加入するかですね。

PL保険の窓口は大きく3つあり、どこを選ぶかで保険料が変わってきます。

まずは全体像を、表でつかんでしまいましょう。

窓口保険料特徴とおすすめの方
損害保険会社・代理店で直接やや割高補償設計の自由度が高く、すぐ動ける。特殊な商品を扱う方、高額な支払限度額が必要な方に
商工会議所の
中小企業PL保険制度
最安団体割引が効く。ほとんどの中国輸入セラーはここでOK
一括見積もり・知人の紹介比較次第相場観をつかみたい方に。中国輸入仲間からの紹介なら、事業内容の説明が省けて話が早い

3つ目の「一括見積もり・知人の紹介」は、独立した加入ルートというより比較のための手段です。

周りに中国輸入ビジネスの仲間がいるなら、「PL保険どこで入ってます?」と聞いてみてください。

中国輸入というビジネスモデルを理解している担当者を紹介してもらえると、説明の手間が省けて契約までがぐっとスムーズになりますよ。

 

詳しく見ていきましょう。

 

損害保険会社・代理店で直接契約する

もっともシンプルなのは、大手の損害保険会社や代理店に直接相談して契約する方法です。

「PL保険」で検索すれば、大手損保各社のプランがすぐに見つかります。

担当者と相談しながら、自分のビジネスに合わせて補償内容を細かく設計できるのが最大のメリットです。

Amazonのように「支払限度額◯円以上」という条件が指定されている場合も、この方法なら確実に要件を満たせます。

一方で、団体割引が使えないぶん、次に紹介する商工会議所経由よりも保険料は割高になる傾向があります。

なお、保険商品そのものの基礎知識は日本損害保険協会のホームページでも確認できますので、相談前に目を通しておくと話が早いですよ。

 

商工会議所の「中小企業PL保険制度」を使う【最安】

私がいちばんおすすめするのは、お住まいの地域の「商工会議所」に入会し、中小企業PL保険制度を利用する方法です。

これは日本商工会議所が保険契約者となる団体制度で、会員であれば団体割引が適用されます。

同じ補償内容でも、個別に契約するより保険料をぐっと安く抑えられるんです。

商工会議所の年会費は地域によりますが、おおよそ1万円程度です。

年会費を払ってでも、この制度を使ってPL保険に入るメリットは十分にあります。

手続きは驚くほど簡単で、地元の商工会議所に「PL保険に入りたいのですが」と電話すれば、提携している保険会社を案内してもらえますよ。

私自身も商工会議所経由で加入しています。電話で聞かれたのは「扱う商品の種類」「年間売上高」「希望する支払限度額」の3つだけでした。経営相談や融資のサポートといった会員特典も使えるので、一石二鳥なんです!

 

加入前に知っておきたいPL保険の注意点3つ

PL保険の解約・法令違反・リコール費用

PL保険はとても心強い味方ですが、「入ってさえいれば何があっても安心」というわけではありません。

知らずに契約すると後悔しかねない、大切な注意点が3つあります。

あとで「そんなの聞いてないよ〜」とならないよう、ここでしっかり確認しておきましょう。

 

詳しく見ていきましょう。

 

解約すると過去に販売した商品は補償されない

PL保険は、事故が発生して損害賠償を請求された時点で、保険契約が有効でなければ補償を受けられません。

たとえば、商品の取り扱いをやめたからと保険を解約したあとに、過去に販売した商品が発火事故を起こしたとします。

お客様がその商品を使い続けている限り、販売をやめたあとでもあなたの責任は残りますので、この場合の賠償はすべて自己負担になってしまいます。

取り扱いを終えた商品があっても、その商品の寿命を考えて、一定期間は保険を継続しておくのが安心ですよ。

 

PSE・技適・薬機法に違反した商品は補償されない可能性がある

すべてのトラブルが無条件に補償されるわけではない、という点にも注意が必要です。

特に気をつけたいのが、法規制に違反していたケースです。

PSEマークが必要な電気製品を無認証で販売していた場合や、技適マークのない無線機器、薬機法に違反した化粧品などを扱っていた場合は、保険金が支払われない可能性が高くなります。

保険はあくまで最後の砦であり、法規制を守った安全な商品を仕入れることが大前提だと覚えておいてくださいね。

 

リコール(生産物回収)費用は特約が必要

意外と知られていないのが、商品を回収するための費用は、基本契約に含まれていないことが多いという点です。

事故が起きて「同じロットの商品をすべて回収しよう」となったとき、次のような費用が一気に発生します。

  • お客様への告知・お知らせにかかる費用
  • 回収品の送料・輸送費・保管費
  • 回収作業のための人件費・臨時スタッフの費用
  • 回収した商品を適切に廃棄する費用

これらをカバーするには「生産物回収費用担保特約」をセットする必要があり、支払限度額も基本契約とは別枠で設定されるのが一般的です。

自己負担割合が設定されていることも多いので、加入時に「リコール費用は付いていますか?」と一言確認しておきましょう。

 

中国へ輸出・中国国内で販売するなら「海外PL保険」が必要

中国輸出に必要な海外PL保険の補償

ここからは、記事の冒頭で分かれたもう一方のお話です。

日本から中国へ商品を輸出する方や、越境ECで中国の消費者に直接販売する方は、ここからをお読みください。

「うちは輸入専門だから関係ないな」と思った方も、最後のひとつだけは目を通していただけると嬉しいです。

思わぬ落とし穴があるんです。

 

詳しく見ていきましょう。

 

国内PL保険では海外での事故は補償されない

まず、いちばん大事なところからお伝えします。

日本から輸出した製品によって海外で事故が起きても、国内のPL保険では補償されません。

「PL保険には入っているから大丈夫」と思っていたのに、いざ訴状が届いてから対象外だと知る──これが、輸出企業でもっとも多い誤解なんです。

例外は、国内PL保険に「国外一時持出品担保特約」をセットしている場合の、その一時持ち出し品だけです。

海外での賠償に備えるには、海外PL保険(英文生産物賠償責任保険)という別の保険が必要になります。

なぜ別建てなのかというと、海外の訴訟は日本とは前提がまるで違うからです。

  • 約款が英文:海外の法制度に対応するため、契約書類そのものが英文で構成されています。
  • 示談交渉を代行してくれる:現地の弁護士選定から応訴・和解交渉まで、保険会社が代わって対応します。
  • 間接輸出も対象:自社が納めた部品が取引先の完成品に組み込まれて輸出された場合もカバーされます。

特に2つ目は重要です。

中国の裁判所に、中国語で応訴する。

これを自力でやるのは、正直なところ現実的ではありません。

 

中小企業海外PL保険制度の保険料と補償

海外PL保険にも、国内と同じように商工会議所の団体制度があります。

日本商工会議所の中小企業海外PL保険制度で、「グローバルプロテクト」という愛称で案内されているものです。

案内資料で公表されている条件は、おおむね次のとおりです。

項目内容
保険料最低6万円程度から。一般での加入より最大約30%割引
加入資格商工会議所の会員事業者。中小企業には国からの保険料補助制度もあります
補償内容法律上の損害賠償金/弁護士報酬・訴訟費用/生産物回収費用(自動セット)
補償されない主な例懲罰的損害賠償金・罰金・制裁金、生産物自体の損壊、契約上の加重責任など

※制度内容や保険料は年度ごとに改定されます。最新の条件は、お近くの商工会議所にご確認ください。

国内PL保険の年5,000円と比べると「高い」と感じるかもしれませんね。

ただ、海外での賠償額は日本の水準を大きく上回ることがあります。

中国でも、欠陥を知りながら販売して重大な被害が生じた場合には、懲罰的な賠償が認められる制度があるんです。

輸出をビジネスの柱にするなら、必要経費として見ておきたいところですね。

 

中国輸入セラーでも海外PL保険が必要になる3つのケース

さて、「輸入専門の自分には関係ない」と思っていた方に、ここからが本題です。

中国から仕入れて売っている方でも、次の3つに当てはまると海外PL保険の検討が必要になります。

ケースどんな状況か
①Amazon海外販売・越境ECをしているAmazon.comやeBay、Shopifyなどで海外の消費者に販売している場合。事故が起きるのは日本国外なので、国内PL保険の範囲外です
②訪日客が買って持ち帰った日本国内で販売した商品でも、外国人旅行客が自国へ持ち帰って事故が起きれば、海外での賠償請求になります
③取引先経由で海外へ流れた卸した先の会社が海外へ輸出していた場合。自社は国内取引のつもりでも、巻き込まれることがあります

特に②と③は、自分でコントロールできないのが怖いところです。

海外PL保険の団体制度では、この「間接輸出品」と「外国人旅行客が持ち出した製品」が自動的に補償対象に含まれています。

裏を返せば、それだけ実例が多いということなんですね。

国内販売だけなら、まずは国内PL保険で十分です。海外販売に踏み出すときや、法人へ卸しはじめるときが、海外PL保険を考えるタイミングだと覚えておいてくださいね。

 

【Q&A】中国のPL保険に関するよくある質問

最後に、中国輸入におけるPL保険について、よくいただく質問をまとめました。

気になるところだけでも、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

詳しく見ていきましょう。

 

個人事業主でもPL保険に加入できますか?

はい、加入できますのでご安心ください。

PL保険は法人だけでなく、個人事業主も加入できる商品がほとんどです。

商工会議所も個人事業主の入会を受け付けていますので、「中小企業PL保険制度」を利用した割安な加入も可能ですよ。

 

PL保険はいつから補償が開始されますか?

契約手続きが完了してから、指定した保険始期日以降の補償開始となります。

窓口によっては、申し込みから補償開始まで1ヶ月ほど先になるケースもあります。

「事故が起きてからでは加入できない」のが保険ですので、必要だと感じたら早めに手続きを進めておくと安心ですね。

 

無在庫転売(ドロップシッピング)でもPL保険は必要ですか?

はい、無在庫転売であっても、日本国内に輸入して販売した以上、あなたが「輸入者(=製造者)」とみなされる可能性が高いです。

むしろ無在庫転売は、ご自身で現物を確認(検品)せずにお客様へ届けるため、不良品による事故のリスクは有在庫よりも高くなります。

売上が一定規模を超えているなら、無在庫であっても加入を強くおすすめします。

 

OEMで自社ブランド化した場合、責任はどうなりますか?

輸入者としての責任に加えて、ブランドを表示した者としての責任も負うことになります。

製造物責任法では、製品に自社の名前やブランド名を表示した事業者も「製造業者等」に含まれるためです。

タグを付け替えただけの簡易OEMでも、あなたのブランド名が入っていれば同じ扱いです。

OEMで自社ブランド商品を出すなら、売上規模にかかわらずPL保険への加入をおすすめします。

 

中国の製造物責任法(PL法)は日本と何が違いますか?

中国には日本の製造物責任法にあたる単独の法律はなく、複数の法令で構成されています。

中心となるのは製品品質法(産品質量法)と、2021年1月1日に施行された民法典 第7編「権利侵害責任」です。

なお、以前の「権利侵害責任法」は廃止され、その内容は民法典に統合されていますので、古い解説記事を読む際はご注意くださいね。

日本との主な違いは、次の3点です。

  • 販売者にも直接請求できる:被害者は生産者と販売者のどちらにも賠償を請求でき、支払った側があとで相手に求償します。
  • 懲罰的賠償の制度がある:欠陥を知りながら販売して死亡や重大な健康被害が生じた場合、通常の賠償に上乗せした請求が認められています。
  • 時効が短い:欠陥商品の損害賠償請求は原則2年。最初の消費者への引き渡しから10年を過ぎると請求権が消滅します(日本は原則3年)。

より詳しい制度の解説は、ジェトロの「製造物責任法の概要:中国」が参考になりますよ。

 

まとめ:PL保険は自分とお客様を守る「守り」の投資

  • 中国から輸入して日本で売るなら「国内のPL保険」、中国へ輸出・中国で売るなら「海外PL保険」と、必要な保険が分かれる。
  • PL保険は、販売した商品が原因の事故による損害賠償金・争訟費用などを補償する保険である。
  • 中国輸入では法律上「輸入者=製造者」となるため、事故の全責任を販売者が負うことになる。
  • 中国の工場にも条文上は求償できるが、時効2年・現地提訴といった壁があり、現実には期待できない。
  • 月商100万円を超えたら、電気・肌・お子様に関わる商品を扱うなら、加入は必須と考えるべき。
  • 保険料は年商1,000万円までなら年間5,000円〜1万円程度と、非常にリーズナブル。
  • 加入は商工会議所の「中小企業PL保険制度」を利用するのが、いちばん安くておすすめ。
  • 解約後は過去に販売した商品が補償されないため、販売終了後も一定期間の継続が安心。

PL保険は、あなた自身と大切なお客様、そしてご家族を守るための最低限の防具です。年間数千円の「守りの投資」で安心を手に入れて、中国輸入ビジネスをじっくり育てていきましょう!

中国輸入代行 誠
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